「トム ブラウン(THOM BROWNE)」がアパレルなどに採用した4本線のストライプ柄やブランドのトレードマークでもあるトリコロールカラーのグログランリボンが「アディダス(ADIDAS)」の商標権を侵害しているなどとして、「アディダス」が「トム ブラウン」を提訴している件について、「アディダス」は「トム ブラウン」が重要な証拠を隠していたと主張し、再審請求した。
「アディダス」は、「トム ブラウン」が一審のディスカバリー(証拠開示手続き)期間中に4通のメールを「悪意をもって」開示しなかったと主張する。これらのメールは2016~19年の間に送られたもので、両社が英国で争っていた別の商標紛争で表面化した。従業員がデザイナーのトム・ブラウンに対して、「アディダス」の商品と混同を生じさせる可能性があるため、特定のストライプを使用しないよう注意喚起を行う内容だという。「トム ブラウン」は、これらのメールのうち3通はスペインのサッカーチームFCバルセロナのためにデザインしたアイテムに関連するメールで、残りの1通はアジアの小売店に関するものであり、4通全てが本件訴訟で問題となっている商品とは関連がなく、再審の必要はないと反論した。
「トム ブラウン」の反論に対して、「アディダス」は、これらのメールは本件訴訟と「関連性が高く」、米国の消費者の混乱を招く可能性があり、もしこれらのメールが一審で陪審員に提出されていれば、「裁判の結果が変わっていた可能性が高い」と主張した。「トム ブラウン」は米WWDの取材に対して、「反論でも述べた通り、問題となっているメールは意図的に隠したものではなく、アディダスの主張はいずれも陪審員の評決を無視するほどのものではない」とコメントした。
双方の主張を踏まえ、裁判所が再審を行うかを検討する。結論を出すまでのタイムラインは開示されていない。
「アディダス」は、「トム ブラウン」がアパレルなどに採用した4本線のストライプ柄やブランドのトレードマークでもあるトリコロールカラーのグログランリボンが「アディダス」の商標権を侵害しているなどとして、約800万ドル(約11億6800万円)の損害賠償を求めて「トム ブラウン」を提訴していたが、今年1月、8人の陪審員は「トム ブラウン」の商標権侵害を否定していた。